青年ダイアリー

無知で愚鈍なる青年のとりとめのない想い

夢を与えるお仕事

毎夜、行き場を持たない心が、その落ち着く所を求めて指先を走らせる。

1日のフィルムを巻くようにスクロールボタンを回し、ポインタの先を走らせて、いい匂いがするドアをそっとクリックする。

どこかで見たことありそうな女が、知らない男と裸で絡み合って、艶やかに身体をくねらせて、細い声で喘ぎ鳴いている。

この女は、誰だろう。

わからない。
私は、今普通を生きている。
彼女とは違う、普通を生きている。
彼女は何を思い、その美しい身体を汗で湿らせ、鳴き声をあげているのだろう。

どうしてそんなところにいるのだろう。
彼女は普通を生きたかっただろうか。
母の温もりを感じ、父の背中に魅せられて2本の脚で立ち、時には胸の締め付けられるような青春を過ごして、立派に社会という苦労の渦を走る中で、知らない街行きの列車に乗り換えて、新しい家庭を築きたかったかもしれない。

初めて与えられたその命を、どうして彼女は、その尊い命をすり減らしてしまうのだろう。誰が彼女にそうさせているのだろう。

彼女は命を投げ出したくなったりはしないだろうか。私はその命を、曇らせないで欲しいと思う。いつか輝いて、花を咲かせて欲しいと思う。

誰か分からないその女は、毎夜、行き場を持たない知らない誰かの孤独な心を癒している。知らない誰かの孤独な心に、一条の光を投げかける。